『糖質をいかに抑えることができるか』
それがダイエットや健康への近道といわれる時代ですが、そんな中、砂糖の代わりに本みりんを使用するレシピが注目されています。
和食の調味料のイメージが強いみりんですが、実はスイーツや洋食にも使えて、魅力がいっぱいなんですよ。
歴史
みりんの由来は諸説あるようです。
- 日本に古くからある「練酒」や「白酒」などの甘いお酒が腐敗するのを防止するために焼酎が加えられ、後にみりんになったという説。
- 中国から伝わった「密淋(ミイリン)」蜜がしたたるようなという意味の甘いお酒が日本に伝来し、それがみりんになったという説。
みりんは戦国時代から江戸時代にかけ、お酒が苦手な人や女性も飲める「甘いお酒」として飲用されていたと言われています。
甘い物が貴重な時代だったため高級なお酒として珍重されました。
みりんの甘さは、米のデンプン質を糖に変える「麹」によってつくられますが、当時は麹をつくる技術が発達していなかったため、甘みは今より少なかったともいわれています。
お酒として浸透していたみりんは、江戸時代後期、関東で鰻のたれやそばつゆに「みりん」が使われていた事が書物に残されており、その頃から料理の旨みを引き出す調味料としてひろく使われるようになっていったとされています。
大正末期から昭和初期にかけて、現在のような甘いみりんが作られるようになったようです。
「本みりん」と「みりん風調味料」の主な違いとは?
スーパーなどでよく見かけるこの2種類のみりんですが、何が違うかご存知ですか?
お値段に違いがあるなあと感じていらっしゃる方が多いと思いますが、それには理由があるのです。
原材料と製造方法の違い
「本みりん」の原料は、蒸したもち米、米麹、焼酎もしくはアルコールです。
これらの原料を合わせて熟成させると、米麹の酵素の働きにより、糖類やアミノ酸、有機酸などがつくられ、「本みりん」特有の風味が出来上がります。
また、短期熟成させた「白みりん」、長期熟成させた琥珀色の「赤みりん」があります。
白みりんは、サラリとした上品な甘みとクセのない香りが特徴。料理全般に合わせやすい調味料で、とくに繊細な味を生かしたいときや、きれいな色に仕上げたいときに使うのがおすすめです。
赤みりんは、濃厚なコクと甘み、芳醇な香りがあり、味に深みを出したいときに向いています。
本みりんに対して、「みりん風調味料」はブドウ糖や水あめなどの糖類・米・米麹・うまみ調味料・香料などを短時間で調合し作られます。
アルコール度数の違い
「本みりん」には14%前後のアルコールが含まれています。
それに対して「みりん風調味料」はアルコールをほとんど含まず、アルコール度数は1%未満です。
そのため、「本みりん」には酒税がかかっていて、酒類販売免許のある店でしか販売できません。
「みりん風調味料」は酒類として扱われないため、「本みりん」とくらべて価格が安くなっているのです。
では、本みりんを使うメリットについて、具体的にご紹介していきますね。
本みりんを使うメリットとは
まろやかで上品な甘みに仕上がり、コクが増す
本みりんは、もち米を発酵させる段階で生まれるアミノ酸やペプチドなどの旨味成分と多くの糖類からできています。そのため食材に甘味を足すだけでなく、独特のコクやうまみを与えるのが特徴です。
ショ糖のみの砂糖に比べて後味がすっきりとし、上品な甘さをつけることが出来ます。
砂糖の代わりに本みりんでつくるデザートは、上品でまろやかな甘さに仕上がるので、ご家族やお客様にも喜ばれる一品になると思いますよ。
煮崩れを防止する
本みりんに含まれる糖類とアルコールの効果で、
- 肉や魚などの筋繊維がくずれるのを防ぐ
- 野菜のでんぷん粒の流出を防ぐ
- 食材の旨み成分を外に逃がさない
素材を引き締める効果があるため、煮崩れしやすい煮魚などの煮物料理には必須ですね。
たとえば、崩れやすいひき肉団子の煮物を作る際も、本みりんを使えばきれいに仕上がります。
味が早く染み込む
本みりんに含まれるアルコールの効果によって、旨み成分が素早く浸透し、料理の味付けが短時間で均一に仕上がります。
アルコールは水に比べ分子が小さいため、アミノ酸や糖類などを浸透しやすくする作用があるためだとか。
食材の臭みを消す
本みりんは、食材の臭みを消す働きもあります。
熱を加わえることで、食材にしみ込んだアルコールが蒸発します。
その際に、肉や魚の臭みも一緒に蒸発していくため、食材の臭みをとることができます。
また、本みりんを加熱すると甘い香りが立ちお料理を引き立たせます。
さらに加熱し焦がすとことで、香ばしい良い香りに仕上がります。
青魚の生臭みをとり、香ばしく焼き上げる「イワシのみりん干し」などは、おすすめのレシピです。
料理の保存性を高める
味が溶け出すことを防ぐ効果もあり、食材の保存性を高めてくれます。
照りやツヤを出し、美味しい焼き色をつける
多種類の糖分が食材の表面に膜を作り、水分や美味しさをとじこめ、素材に照りやツヤを与える効果もあります。
また、糖分とアミノ酸が加熱され、きれいな焼き色に仕上がります。
照りツヤが良く、香ばしい焼き色をつけたい「手羽先」などには、本みりんはうってつけの調味料といえますね。
他の調味料との相性も抜群
やはり、みそやしょうゆ、酢などの昔ながらの醸造調味料との相性が抜群だといえます。
本みりんのおだやかな甘味が、みそやしょうゆの塩辛さや酢の酸味を和らげ、料理の味をまろやかに仕上げます。
また、液体調味料なので混ざりやすいのも特徴ですね。
照り焼きの黄金比は、本みりん・酒・しょうゆを同量、砂糖を少々。
子供も大好きな照り焼きの味付けでお魚料理を作れば、お魚嫌いなお子さんもたくさん食べてくれそうですね。
和食に限らず、洋食やエスニック、スイーツにも本みりんは使えます。
最近では、本みりんを使ったレシピ本も出ていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
健康効果
製造方法でおわかりのとおり、「本みりん」は発酵食品なんです。
そのため、グルタミン酸やアスパラギン酸などのアミノ酸、乳酸やクエン酸などの健康効果が期待できる成分が豊富に含まれています。
疲労回復・美肌効果
麹菌が米の表面で繁殖する際、疲労回復に効果があるとされるビタミンB1・B2などのビタミンB群を作り出します。
また、ビタミンB群は、肌の調子を整え、美肌へと導きます。
それに加え、本みりんにはアミノ酸が豊富含まれ、疲労回復に効果があるとともに、新しい細胞の材料となるため、アンチエイジング効果も期待できます。
代謝を上げる
ビタミンB1・B6は炭水化物やタンパク質の代謝を助けます。
貧血予防にも
本みりんには銅も含まれています。
銅は体内で鉄分の利用をサポートする成分であり、貧血の予防や改善に効果的です。
血糖値を上げにくい
砂糖のGI値が115に対して、みりんは15と圧倒的に低く、生活習慣病予防やダイエットにも効果的です。
これらのように、多くの健康効果が期待できる本みりんを、砂糖のかわりに使用するレシピが注目されてきています。
まとめ
- みりんは、当時お酒として浸透していたが、江戸時代後期、関東で鰻のたれやそばつゆに使われ、その頃から料理の旨みを引き出す調味料として使われるようになっていった。
- 「本みりん」と「みりん風調味料」の違いは原材料・製造方法・アルコール度数の違いです。
- みりんを使うメリットは、コクが出て、見た目や、味、共に仕上がりが良くなるというところです。
- 「本みりん」は発酵食品であるため、美肌効果や、健康効果が期待できる。
- 大正末期から昭和初期にかけて、現在のような甘いみりんが作られるようになり、近年では健康効果を期待し、砂糖の代わりにみりんが使われるようになってきた。
いかがでしたか?
昔から何気なく私達のそばにあった調味料の本みりんですが、実はこんなにも多くのメリットを私達にもたらしてくれていたんですね。
本みりんの代わりにお砂糖とお酒で代用する方もいるようですが、やはり醸造させる際にできる成分に違いがあるため、深みがある旨味やコクがでません。
また、逆にお砂糖の代わりに煮詰めてアルコールを飛ばした煮きりみりんを使うと、お砂糖では作りだせない深みのある甘さとコクがあるお料理に仕上がります。
ぜひ、日頃作っているあなたの得意料理に本みりんを使ってみてください。
ご家族の「美味しい」の笑顔が増えると思いますよ。