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ひな祭りに食べる食べ物の意味や由来とは?子を思う親の願いがこめられた話を紹介します

ひな祭りには、古くから伝わる伝統的なお祝い料理がありますね。
ひな祭りは、昔から季節の重要な節目と考えられており、その時期に採れる「旬のもの」や「初もの」を食べることが大切とされてきました。
旬のもの」「初もの」といった食材は、昔から邪気を払って病気にならない縁起物と考えられてきたからです。

そのため、食材や色にも意味合いがあり、願いが込められてきました。
ここでは、ひな祭りに食べる食べ物ついての意味や由来について、ご紹介していきます。

はまぐりのお吸い物

はまぐりは、最初に対になっていた貝同士でないと絶対に合わないと言われています。
これは、蝶番の部分がはまぐりの個体によって異なるためだとか。

その様子から「一生涯一人の相手と添い遂げる」理想的な夫婦像の象徴とされてきました。
雛祭りに、はまぐりのお吸い物をいただくのは、
「娘の将来は、素敵な男性と出会っていい結婚、いい夫婦生活が送れますように」
という親の願いが込められているとされています。

また、「夫婦円満」や「良縁に恵まれる」として、結婚式などのお祝い事にもかかせないお料理となっています。

平安時代には、つがいのはまぐりの貝の内側にそれぞれ同じ絵を描き、貝を伏せて絵合せをする「貝合わせ」と呼ばれる遊びがありました。

菱餅(ひしもち)

緑、白、ピンク(紅)の3色の餅を菱形に切って重ねた、ひな祭りには欠かせないものですね。
元は母子草(ははこぐさ)という草餅でした。

しかし、「母子をついて餅にする」と嫌がられるようになり、日本ではヨモギを使うようになります。
江戸時代になると菱の実の白い餅が加わって2色の菱形の餅になり、明治時代にはクチナシを用いた桃色の餅も追加され、3色に重ねた今の菱餅となりました。
それぞれの色にも意味があります。

菱餅の色 意味
緑色 長寿や健康
白色 清浄
ピンク 魔除け

と言われています。

下から緑色・白色・桃色の順に重ねるのにも意味があります。

「春近い季節、雪の下には緑の草が息づき始め、溶け掛かった雪の残る大地には、桃の花が芽吹く」

 

と、春の情景をイメージしているといわれています。
とても日本人らしい風情あるものですね。

また、それぞれお餅には様々な食材が使用され、それぞれ効能があると言われています。

餅の色 食材 効能
緑色 よもぎ 増血作用
白色 ひしの実 血圧を下げる効果
ピンク くちなし 解毒作用

食べることで身を清めて厄をはらい、「一年間健やかに過ごせるように」という願いが込められているとされています。


ひなあられ

ひなあられは、もともと「雛の国見せ」という風習から来ているといわれています。
「雛の国見せ」とは、貴族階級の娘達が雛人形を川辺や野原、磯に持ち出し、春のおとずれを人形にも見せてあげるというもの。
その際、菱餅を外でも食べることができるようにと、砕いて揚げた携帯食だったのではないかとされています。

ひなあられ 関東と関西のちがい!?

実は、ひなあられは関東と関西で違うのはご存知でしょうか?

関東のひなあられ

関東出身の私には、こちらのほうが馴染みが深いですが、
から作られる甘い味をつけたポン菓子に、緑とピンクに着色した粒が入っていて、菱餅の色合いと同じになっています。

それぞれの色にも意味合いがあります。

意味合い
大地のエネルギー
赤(桃色) 生命のエネルギー
木々のエネルギー

これらを食べることで自然のエネルギーを体内に取り込み、健やかに成長できますようにと、娘を思う親心が込められているといいます。

この他、白・黄色・桃色・緑と4色というものもあります。
この4つの色は、春(桃色)・夏(緑色)・秋(黄色)・冬(白色)と四季を表しているとも言われています。

関西のひなあられ

から作る直径1cmくらいのあられに、しょうゆや塩などで味を付けたものです。

現代では、ピーナッツや大豆を甘くコーティングしたものや米粒大よりも大きな形をしたものが関東風でも多くなりましたし、関西風にはマヨネーズ味やチョコレート味など多様な味が登場しているようです。

東海や北陸では両方を売っている場合も多いようで、新しい商品を好みがちな消費者のニーズにより、ひなあられも時代とともに変化しているようですね。

白酒

もともとは桃の花びらを漬けた「桃花酒」というものが飲まれていたと言われています。
桃は邪気を祓い、気力や体力の充実をもたらすといわれ、薬酒のひとつとして中国から伝えられました。
また、桃が百歳を表す「百歳(ももとせ)」に通じることから、桃花酒を飲むという風習があったようです。

江戸時代では

江戸時代からは、みりんや焼酎に蒸したもち米、米こうじを加えて仕込み、1カ月ほど熟成させたのち軽くすりつぶして造られる白酒が飲まれるようになります。
その名のとおり白濁していて粘りがあり、見た目は甘酒に似ていますが、アルコール度数が10%前後と高く強い甘みが特徴です。

白酒を売り出したのは

当時、「豊島屋酒店」(鎌倉市に現存)が白酒を売り出しました。

豊島屋の言い伝え
豊島屋の初代の枕元にお雛様が現れて、おいしい白酒の造り方を伝授されたそうです。そしてその言い伝えが江戸中の評判となり徳川将軍にも愛飲されるようになりました。

女性にも飲みやすい白酒は、桃の花との対比(赤(桃色)白)もめでたい!ということも手伝って、雛祭りのお酒として定着していきました。

ちらし寿司

平安時代より桃の節句には現在のお寿司の起源とも言われている「なれ寿司」に、エビや菜の花を載せて彩をよくして食べられていたようです。
それが現代に受け継がれていくうち、より豪華でより見栄えのするものが好まれ、ちらし寿司へと変化していったと言われています。

ちらし寿司に載っている具材にもそれぞれに意味が込められています。

具材 意味
海老 腰が曲がるまで長生きしますように
れんこん 将来の見通しがいい
健康で、まめに働き、まめに生きる

また、「寿司」という漢字には「寿(ことぶき)を司(つかさど)る」という意味があり、縁起がいいもの、お祝いの席で食べるものという意味を持っています。

まとめ

他にも、願いごとが叶うとされるさざえや、はまぐりの代用品としてあさりなどの貝類もよく使われます。
野菜では、芽を出すものが喜ばれ、わらびやよもぎ、木の芽などをおひたしや浅漬けにしたり、白酒に浮かしたりして、春の息吹を目で楽しみ、食して体に取り込むことで堪能してきました。

ひな祭りで食べるお料理は、どれも優しい色合いで春の装いですね。
インスタ映すること間違いなしですが、そこには健やかで幸せそう笑っている子供たち、その笑顔がいつまでも続くようにとの親の願いが込められていることを、次の世代にも伝えていきたいですね。




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