ここ数年毎年日本でマダニにかまれて
亡くなられる方が増えています。
「ダニで人が亡くなってしまうなんて!」と
驚かれた方も多いのではないでしょうか?
なぜマダニにかまれると命の危険性が高くなるのか?
またかまれないための予防や万が一かまれた場合の
対処法や治療について紹介します。
ダニのウイルスに関して
今回北海道でマダニに刺されて亡くなった原因は
「ダニ媒介脳炎」で、これは「フラビウイルス」を持つ
マダニにかまれたことで起こりますが
国内で感染したのはまだ2例目で感染した人が亡くなったのは
初めてのことです。
ただしマダニによる死亡例は以前からあります。
今年(2016年5月)には静岡県沼津市の70歳代の女性が
マダニを介して感染する日本紅斑熱で亡くなられています。
2013年にはマダニにかまれて発症する
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)による死亡者が相次ぎました。
※SFTSは日本では2013年に初めて確認された新規ウイルス感染症です。
これらの病気以外にも死に至るほどではないものの、
マダニにかまれることで発症する可能性があるのは
ライム病や回帰熱です。
ライム病はスピロヘータの一種であるボレリアの感染に起因する
細菌感染症で歌手のアヴリル・ラヴィーンが5ヶ月間も
寝たきりだったように重症患者もいます。
回帰熱もボレリア属の細菌から感染に起因する細菌感染症ですが、
国内での発症はまだ2例のみです。
このようにマダニにかまれて発症する可能性がある病気は
いくつかあり
日本には47種類のマダニが生息していていますが
そのうち
ダニ媒介脳炎を引き起こす「フラビウイルス」を
感染させるのは
「ヤマトマダニ」と「シュルツェマダニ」
SFTSウイルスは「タカサゴキララマダニ」と
「フタトゲチマダニ」
日本紅斑熱は「キチマダニ」、「フタトゲチマダニ」、「ヤマトマダニ」
ライム病は「シュルツェマダニ」
回帰熱は「パブロブスキーマダニ」「シュルツェマダニ」
とマダニの種類によってかかる病気が違います。
ただ、これらのマダニにかまれたからといって
必ずしもウイルスを持っているわけではなく、
万が一ウイルスを持っているマダニに
かまれたとしても必ず発病するというわけではありません。
またウイルスというとインフルエンザウイルスのように
人への感染が気になりますが人から人への感染はありません。
心配な点は今までの亡くなられた方の傾向を見ると
40代以上の方がほとんどなのと
SFTSの場合は発症すると致死率が高いので
注意が必要です。
※2013年には西日本で40~90代まで40人の
SFTS患者が報告されてそのうち13人の方が
亡くなられています。
ダニにかまれないための予防や対策
マダニは山や野原だけでなく、道路脇や公園の
草やぶなどにも生息しているので普段から注意が必要です。
またマダニは春から秋にかけて多く見られます。
春は成虫が秋は若ダニや幼ダニが多く発生するので
真冬以外はいつもいると思った方が良いでしょう。
対策は長袖と長ズボンをはいて頭には帽子、
首にはタオルを巻くといった肌の露出を
少なくするのが一番です。
そして服の色はマダニを発見しやすいように
白か明るい色にしましょう。
ただ夏の暑い時期に長袖は厳しいですよね。
その場合、マダニは木の葉や草むらの土の表面に
生息しているので
●草むらになるべく入らないようにする
(入る場合は長袖長ズボンに)
●草や芝生の上でご飯を食べる際は敷物を利用
●暑くて脱いだ上着やタオルを草や地面の上に置かない
●マダニ専用の虫よけスプレーを使用する
●帰ったらすぐに入浴して着替えをする
(着たものはすぐに洗濯する)
そして必ず入浴する前にマダニが体についていないか
チェックをすることをおすすめします。
マダニにかまれた場合の対処法!治療法は?
きちんとマダニ予防をしたつもりでも、かまれる場合が
ありますね。
その場合の対処方について紹介します。
マダニの多くは人に取り付くと、口器を皮膚に突き刺し、
数時間から、長いものは10日間以上吸血する場合もあります。
ただ問題はマダニにかまれたとしても、それに気がつかない
場合が多いということです。
そのため気がついた時にはかまれてから、
かなりの時間が経っていることもあります。
ですがマダニにかまれているのがわかった時は
すぐに無理やり取ろうとするのはやめましょう。
無理に引き抜こうとするとマダニの頭などが
皮膚内に残って化膿したり、
マダニの体液を逆流させてしまうと感染症などの
恐れがあります。
かまれたことをすぐに気づいた場合はピンセットなどで
取り除ける場合が多いようですが
時間が経つとマダニがセメント質を出して肌に固着し
ピンセットでも取れなかったり、仮に取れたとしても
黒いとげのようなものが残ったりするので
皮膚科で取り除いてもらうようにしてください。
そしてもう一つ心配なのが感染症です。
ただマダニにかまれてすぐに発症するのではなく
潜伏期間があります。
ダニ媒介脳炎、SFTS、ライム病は7日~14日程度で
回帰熱は12日~16日程度です。
日本紅斑熱は2日から8日と他の感染症よりも
潜伏期間が短いのが特徴です。
症状に関しては多少の違いはあるものの、一般的には
発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛、関節痛、全身の倦怠感、下痢、
腹痛などの症状とともなうことがあるので
かまれて2日から数週間は上記のような症状がないか
体調の変化に気をつけて、万が一そのような症状が見られたら
すぐに病院(内科等)で診察してもらいましょう。
ただ日本紅斑熱やライム病などは抗生剤による治療が有効と
言われていますが、
ダニ媒介脳炎やSFTSは最近発見されたので、
まだ有効な治療薬はなく、対症療法しかないのが現状です。
まとめ
マダニはいくつか種類があって必ずしもウイルスを
持っているとは限りませんし、
もしもウイルスを持っているマダニにかまれたとしても
必ず発症するわけではありません。
ですが万が一発症した場合に
死に至る場合もあるので注意が必要です。
とくに
●ダニ媒介脳炎
●SFTS
●日本紅斑熱
これらの感染症に関しては日本でも
亡くなられた方がいます。
山や草むらなどに行く場合は
予防をしっかりすることが大切ですが
万が一かまれてしまった場合、
すぐに気がついたならばピンセットなどで
取ることが可能ですが
長時間かまれていたり、いつかまれたのか
わからない場合は皮膚科で対処してもらいましょう。
またどの感染症も潜伏期間があるので
取り除いた後も自分の体調に変化があるかどうか
気をつけて過ごすようにしてください。