遺伝子組み換え作物に関しては色々なメディアで紹介されていますが、いまいちよくわからない人が多いのではないでしょうか?
今回は遺伝子組み換え作物を栽培することでのメリットとデメリットについてをわかりやすく説明します。
遺伝子組み換え作物のメリットは?
遺伝子組み換え作物はその作物の風味を改善したり、栄養価をさらに高めたりできるといったその食品の機能を高めたり、生産性を向上させるというメリットがあります。
- 腐りにくくなる
- 味が良くなる
- 栄養成分の含有量を増加させる(ビタミンやミネラル、体に良い脂肪酸を増やす)
- アレルギーの原因となる物質の含有量を減らす
- 農薬や殺虫剤が少なくても大丈夫な作物を作ることができる
- 害虫に対する抵抗性が高い作物を作ることができる
- 冷害や塩害に強い作物を作ることができる
このような良い点があります。
消費者からすれば
「栄養がアップしておいしくなり、さらにアレルギーが無くなって農薬も少なくなれば安全だからうれしいことばかりだわ~」と安心しますね。
生産者も
「農薬や殺虫剤の使用量が減れば費用も減し、病気にかかりにくくなれば作物が育たない心配もなくなり、さらに今まで栽培できなかった場所でも作物を作ることができるかもしれない」
といたこれまでの心配が減ります。
販売者も
「腐りにくくなるならお店で販売できる期間が伸びるし、安定的に供給されるならば野菜の価格が高騰するという
心配もなくなるから安心!」
という消費者や生産者、販売者みんなにメリットがあるのが遺伝子組み換え作物です。
それらならば「どんどん遺伝子組み換え作物を栽培していけば良いのでは?」と思うかもしれませんが、遺伝子組み換え作物にはデメリットもあります。
遺伝子組み換え作物のデメリットと危険性
遺伝子組み換え作物は遺伝子の一部を組み換えて作りますが、以前はその組み換えた部分だけ変化が起こると考えられていました。
ですが実はそうではなく他の遺伝子にも影響を与えて、最終的にどのような結果(発がんやさまざまな健康被害)になるかはまったくわからないものだったのです。
また遺伝子組み換え作物の安全性試験は適切に行われているとは言えず、動物実験ではすでに多くの健康被害の報告があります。
なかでも関係が強いとされているのは
- がんや白血病の発生
- 臓器障害(とくに肝臓や腎臓)
- 寿命の短縮
- 不妊
などが挙げられます。
また一部の巨大メーカーの独占も問題になっています。
遺伝子組み換え作物は少数の巨大メーカーが
開発し、特許を独占しています。
たとえば種にも特許があり、栽培した作物から種をとることができないため、毎年新たな種を購入しなければなりません。
さらに問題なのは強力な農薬や除草剤とそれに耐性をもつ遺伝子を組み込んだ種のセット販売です。
遺伝子組み換えの最大の問題点
実は遺伝子組み換え作物と農薬はセット販売されています。
それは遺伝子組み換え技術を利用して、植物を枯らす農薬に耐えられる遺伝子コードを持った作物を作るからです。
このセットで販売された農薬を使用すれば作物はダメージを受けず、作物の成長の邪魔をする雑草や害虫のみにダメージを与えることができるので、一見良いことのように思うかもしれません。
ですが問題はすぐに除草剤や防虫剤が効かないスーパー雑草やスーパー害虫が登場してしまい、さらに強力な、または複数の除草剤や防虫剤が必要になってしまいます。
そうなるとその土地や地下水が汚染されて、その近くで生活している人への健康被害が出ている報告もあります。
そして遺伝子組み換え作物の最大の問題は環境への影響です。
例えば遺伝子組み換え作物の花粉が飛んでしまい遺伝子組み換えではない作物と交配してしまうと、遺伝子組み換え作物地域ではない地域で遺伝子組み換え作物の遺伝子コードが発見されるという話もあります。
このように一度環境に拡散すると封じ込めも除去も不可能で在来の作物が育てられなくなります。
汚染は半永久的に続き、何世代にもわたり、他の生物にも広がっていくことになります。
それだけでなく先程遺伝子組み換え作物は少数のメーカーが特許を独占していると説明しましたが、遺伝子組み換え作物を育てていない地域で勝手に花粉が飛んできて受粉してしまい、遺伝子組み換え作物が育ってしまうと最悪訴訟問題になる場合もあります。
ようするに「うちの大切な遺伝子組み換え作物を許可なく勝手に栽培したな!」とメーカー側が訴えてくるという事件が海外では何件も起きています。
大切に育ててきた作物が遺伝子組み換え作物に汚染されるだけでなく、訴えられて負けてしまうと農業を続けることができなくなるという可能性もあります。
つまり遺伝子組み換え作物には
- 安全性試験が適切に行われていない。データも少ない
- 動物実験ではがんや臓器障害の報告がある
- 少数の巨大メーカーが作物の種の特許を独占
- スーパー雑草やスーパー害虫が登場する
- 遺伝子組み換え作物をやっていない場所への汚染
(在来作物が育てられなくなる)
といったデメリットもあるのです。
遺伝子組み換え作物の表示について
遺伝子組み換え作物のメリットとデメリットを理解できましたか?
中には「私は遺伝子組み換え作物と書かれている作物を食べていないから大丈夫」と思っている人も多いと思います。
ですがほとんどの人は多かれ少なかれ遺伝子組み換え作物やその加工品を食べています。
現在日本で輸入が許可されている遺伝子組換え作物は
大豆、じゃがいも、とうもろこし、菜種、綿実、アルファルファ、てんさい(砂糖大根)、パパイヤの8種類です。
サラダ油は大豆やとうもろこし、菜種から主に作られますが、パッケージに遺伝子組み換え作物とは書いていないから安心だと思っているのではないでしょうか?
ですがほぼ100%遺伝子組み換え作物から作れています。
実は表示には例外があって
「組み換えDNAやそれによって生成したたんぱく質が含まれない食品には表示義務がありません。」という規則があります。
「???」 これではよくわからないですね。
遺伝子組換えのチェックはDNAが作るたんぱく質がポイントです。
遺伝子とは生物の遺伝情報を伝えるDNAが集まったものでDNAにはたんぱく質を作る働きがあります。
豆腐や納豆などは加工した後もたんぱく質が含まれています。
そのたんぱく質から遺伝子組換えかどうか判断ができるので表示義務があります。
ですがサラダ油は製造過程でたんぱく質が分解されて無くなってしまうので、表示義務がないのです。
なんかおかしい感じがしますが、日本ではこのような例外ルールがあるので、サラダ油は原料を安く仕入れるために遺伝子組み換えで大量に生産された作物から作られます。
また家畜のえさもほぼ遺伝子組み換え作物ですが、これを食べていたからといって「遺伝子組み換えのエサを食べている豚」などの表示義務はありません。
その他にも加工品の表示対象が上位3品目に限られているので、その加工品の4番目以下の原料が遺伝子組み換え作物でも表示義務がありませんし、5%未満の遺伝子組み換え作物の混入は表示が不要というルールもあります。
このように遺伝子組み換えの表示はうまくごまかそうとするればできる規則のため。どんなに気をつけていても遺伝子組み換え作物は口の中に少しは入っています。
またレストランやファーストフードといった外食では表示義務がないので安く大量に遺伝子組み換え作物を仕入れているかもしれません。
このようにいくら気をつけていても知らずに摂取している場合があるので、それでも健康だという人は気にせずに
食べても良いですし、できるだけ遺伝子組み換え作物は避けたいという人はサラダ油のような表示義務のないものはオリーブオイルやえごま油などの結構な油を使用してください。
まとめ
遺伝子組み換え作物にはメリットとデメリットがあります。
この評価については米国と欧州では全く反対の流れになっていて、欧州では排除する動きが強いですが、米国では規制をなくし、表示まで廃止する方向に動いている状況です。
日本では厚生労働省が遺伝子組換え食品は安全性を確認し問題はないとしています。
問題ないならば遺伝子組み換えの表記をなくしても良いと思うのですが、表示義務があるのは、「問題がある」と言っているように感じてしまいます。
日本の遺伝子組み換え作物の年間輸入量は約1600万でこれは米の消費量の約2倍に相当します。
知らないうちに私たちの体に入っている可能性が高いですが、私はできるだけ摂らないように意識したいと思います。
あなたはどうですか?