8月11日の「山の日」という祝日をご存知でしょうか?
8月に祝日ができたという認識はあっても、「山の日」と聞いてピンと来る方は少ないかもしれません。
でも、なぜ「山の日」なのでしょう? そしてなぜ8月だったのでしょう?

祝日「山の日」が制定された経緯についてまとめてご紹介します!

「山の日」の由来

祝日には、それぞれに由来があります。

成人の日

大人になったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます

春分の日

自然をたたえ、生物をいつくしむ

海の日

海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う海の日とは、元々「海の記念日」でした。

明治天皇が明治9年、東北地方を御巡幸されたのち「明治丸」という船にご乗船し、7月20日横浜港に無事ご帰着されたことを祝ったものが「海の記念日」となりました。

天皇が軍艦以外の船にご乗船されたのはこの時が初めてで、それに加え海は大変に荒れたそうですが、明治天皇はまるで何事も無いように始終泰然としておられた姿に、当時まだ船による航行に不安を感じていた一般の国民も、その安全性に大きな信頼を寄せるようになったといわれています。

それ以降、海運と船旅の利用が盛んになり、外国からの文化の伝来をはじめ、人の往来や物の輸送、産業、生活などの各分野にわたって発展していくことになるのです。

 

山の日

では、「山の日」はどうなのでしょう?
山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝するとされています。

1995年に「海の日」が国民の祝日になると、山梨県をはじめ複数の府県で「山の日」ができ、2002年の国際山岳会に「山の日」制定の構想が本格化しました。

その後、2010年に日本山岳協会など山岳5団体が「山の日」制定協議会を設立し、2013年に超党派の「山の日」制定議員連盟が発足すると、「山の日」を国民の祝日にする運動が全国に広がりました。

日本の国土は全体の7割が山地であり、周りは海に囲まれているため、昔から日本人は、それらの恵みに感謝し自然とともに生きてきました。
日本の土地には、海のすぐ近くに山がある地形が多く存在しています。

ただ単に接しているというだけでは無く、生きものの食物連鎖という観点で重要なつながりをもっています。
山に降った雨は、腐葉土のなかにいるさまざまな植物プランクトンを川を通じて海へと運んでいます。
海で待っているのは、鮑や牡蠣などの貝たちや鰊、鱸(すずき)、真鯊(まはぜ)などの魚たちです。
これらの魚介類は、海に注いでくる山からの恵みによって育っていくのです。

このように日本は「山の文化」と「海の文化」の融合によって形成されているといってもよいでしょう。
「山の日」には、‟美しい自然を次世代につないでいけるように”との思いが込められているのです。

また日本は昔から山岳信仰があり、神様や御霊が宿る神聖な場所としてきた歴史もあります。
「海の日」「山の日」は、そんな日本だからこそ、制定された祝日なのかもしれませんね。

8月11日が山の日に制定された理由

なぜ「山の日」が8月11日になったのでしょうか?

「山の日」が制定されるまで、祝日がない月は6月と8月でした。
当初は、山開きが多い6月初旬にする案や、「海の日」(7月第3月曜日)の翌日にする案などがあったようです。
しかし、経済界などの反対を受け、企業が影響を受けにくいお盆の時期になりました。
お盆休みと連休となるよう8月12日の案が有力でしたが、日本航空機123便の墜落事故が起きた日を祝日とするのは適切ではないのではないかという意見により見直されて、8月11日に落ち着いたようです。

夏休み中の祝日ということもあって、お子さんと一緒に過ごせる時間が増えるきっかけとなればよいですね。
また、お盆休みとあわせて長い休暇になれば、帰省していつも離れて暮らしているご家族とゆっくり話せる時間が増えることでしょう。

実は祝日が多い日本

国民の祝日は年間16日
  • 1月  元旦・成人の日
  • 2月  建国記念の日
  • 3月  春分の日
  • 4月  昭和の日
  • 5月  憲法記念日・みどりの日・こどもの日
  • 7月  海の日
  • 8月  山の日
  • 9月  敬老の日・秋分の日
  • 10月   体育の日
  • 11月   文化の日・勤労感謝の日
  • 12月   天皇誕生日
日本人は仕事人間といわれますが、実は、世界と比較すると日本は最も多くの祝日がある国になるそうです。

理由の一つに挙げられるのは、祝日には多くの人が出かけ、消費が増えるため経済効果が期待できるのです。
日本人の有給休暇取得率は、先進国の中でも低く、その対策として祝日を増やすことによって経済効果を上げる狙いがあるわけです。

近年導入されたハッピーマンデー(一部の祝日を月曜日固定にする)も、連休を増やすことで、余暇に費やす金額が増えると国は想定しているのでしょう。

逆に考えると、祝日を増やさなければ休めない日本の文化を考え直さなければ、これからの日本の発展は望めない時期にきているのかもしれません。

まとめ

  1. 祝日には、それぞれに深い由来があります。
  2. 明治天皇が東北地方を御巡幸された後、明治丸で横浜港に無事ご帰着された7月20日が「海の記念日」となり、これが「海の日」となった。
  3. 「山の日」には、‟美しい自然を次世代につないでいけるように”との思いが込められています。
  4. 祝日がない月は6月と8月であったため、企業が影響を受けにくいお盆の時期に制定された。
  5. 日本人は仕事人間といわれますが、実は、世界と比較して日本は最も多くの祝日がある国なのです。

いかがでしたか?
近年、日本の夏は猛暑なことが多いですね。
「山の日」を利用して、太陽に熱せられたコンクリート街から抜け出し、マイナスイオンたっぷりの山の空気を吸いに出かけてみてはいかがでしょう。