小学校での英語授業の必修化が近づいています。
多くの小学校ではすでに英語学習は導入されていますが、2020年には必修科目となります。
東京オリンピック開催も控えて、加速していくイメージですね。
第二外国語のコミュニケーションは、
話を聞いて意味を理解して、話すことを考えて・・・
では間に合わないものです。
このような脳内変換も、子どものうちから学んでいればスムーズにできる気がします。
小学校で授業が始まるのなら、その前の小さな時期から英語を学んでいればもっと身につくはず。
そう期待する育児中のパパママも多いと思います。
英語は学ぶのに時間がかかる!
英語が大好きで一生懸命学んできた人たちには不思議なことでしょうが、一般的に日本人は英語などの外国語が苦手だと言われています。
学校で何年も学んだのにやっぱり苦手、自由に話せるようになりたいけれど・・・という経験はありませんか?
だからこそ子どもには早くから学んで、身につけさせてあげたいというのが親心でしょう。
英語が母国語ではない国は、世界にたくさんあります。
諸外国で取り組まれているのは、共通語である英語を幼少期から学ぶ取り組みです。
そしてヨーロッパ圏は母国語がもともと英語に近いため、英語の習得が比較的容易となっています。
日本語と比べて、どのくらい学びやすいものなのでしょうか。
母国語の違いによる学習時間の違い
文法や発音が似ている言語同士ほど習得しやすそうですよね。
アメリカ国務省の付属機関
「Foreign Service Institute」の調査では
「日常生活に困らないレベルの語学習得にかかる時間」について具体的な学習時間が報告されています。
言語 | 時間 |
1.英語と似た言語 (ドイツ語・フランス語など) |
480 |
2.やや異なる言語 (ギリシャ語・ヒンズー語など) |
720 |
3.かなり異なる言語 (ロシア語・トルコ語など) |
1320 |
4.全く異なる言語 (日本語・中国語・朝鮮語・アラビア語) |
2400~2760 |
必要な学習時間にはかなり違いがありますね。
似た言語同士であれば480時間が目安。
ですが私たち日本人の場合は、約6倍の時間がかかることを意味しています。
授業だけでは足りない学習時間
日本人にとって英語の習得はかなり厳しそうです。
一般的に学校では、これまで小中高、大学まで合わせても、
英語の授業時間は1000時間に満たないそうです。
そのため予習復習・テスト勉強が必要となってきますし、小学校からの英語学習が必修化される方針も納得できますね。
また、百時間単位で学ぶことを考えると、小学校よりも前から積極的に英語教育に取り組もうという意見があるのも理解できます。
しかしながら、幼児期や小学生の時期は、母国語である日本語を身につけ、深めていく途中でもあります。その時期に外国語に力を入れて、日本語習得がおろそかにならないのでしょうか。
反対に、母国語の習得時期に英語もセットで学べばスムーズに身につくのでは、とも考えられます。
メリットもあれば、デメリットもあるような気がしますね。
子育て中の親として、注意すべき点はあるのでしょうか。
幼児期から外国語を学ぶ「デメリット」面は?
親心から始めた場合でも、小さなうちから英語を学ばせた際の注意点もあります。
子どもが言葉の学習を好まなかったり、スクールに通うことを嫌がるなどの可能性があります。
また、よく挙げられる例として、帰国子女の方が漢字などの書字を苦手にしていることも指摘されますよね。
成長過程にある子どもは、まずは母国語をしっかり身につけることが大切です。
言語は思考力の基盤ですので、複数の言語が両方とも未熟なままでは充分に能力が育ちません。日本語の文字書きの難しさを考えると、あせって英語を追いかけるだけでは脳の発達面に不足が起きます。
まずは日本語での文字書きやコミュニケーション力を高めてあげることが大切です。英語に力を入れ過ぎてデメリットとならないように、子どもに押し付けることのないよう注意しなくてはなりません。
幼少期から学ぶ「メリット」面
英語を重視しすぎる場合は問題も出てきますが、普通に教育の一環として子どもに世界を教え、英語に触れさせる方法であれば、成長にも良い効果をもたらします。
早い時期から外国語に触れることで、習得時間の面でのアドバンテージになりますし、聞き取り面でのメリットも受けられます。
言語には周波数がある
言語には発音される周波数で特徴があり、その周波数帯を聞きとれるかがリスニングのポイントとなります。
- 日本語 125~1,500ヘルツ
- 英語(アメリカン) 750~5,000ヘルツ
- 英語(ブリティッシュ) 2,000~12,000ヘルツ
- イタリア語 2,000~4,000ヘルツ
- ドイツ語 125~3,000ヘルツ
- ロシア語 125~8,000ヘルツ
そのため「聞き取りにくい」というよくある難点も納得です。
しかし人間はもともと、100ヘルツ以下も20,000ヘルツほどの音も聞き取れる状態で生まれてきます。
成長する中で母国語を獲得しながら、聞くことのない音域は不要として仕分けられていくのです。
成長した後で外国語を学ぼうと思った時、リスニングのトレーニングなどで練習していく必要があるのです。
そのため幼少期から外国語に慣れていれば、聞き取れる音域を容易に残しておくことができると考えられています。
そして日本語と同じように、英語からは遠い言語と分類される中国語や韓国語ですが、どの国も幼少期からの英語学習に力を入れています。
日本をはるかに上回る英語学習の時間を確保したり、英語漬けで学習できる公共施設や留学制度、オンラインでの英語教育を普及させているのです。
家庭英語も大きなメリットが
世界で見ると、意外に遅れているかもしれない日本の英語教育。
小さい頃からスクールに通ってネイティブやバイリンガルの先生から学ぶことができれば理想ですね。
ですが家庭で英語にたくさん触れるだけでも良い刺激や大きな効果があります。
一般の家庭では、英語だけでコミュニケーションを取って過ごすのは難しいため、教材を用いたインプット学習が中心になるかもしれません。そして親が話す言葉がカタコト英語のこともあります。
どういう話しかけであっても、親が子どもに話しかけるコミュニケーションであれば、英語教育は子どもにとってメリットとなるのです。
親に楽しく話しかけてもらうと、子どもはそれだけで嬉しさに包まれます。
普段と違う雰囲気の言葉を聞きながら向き合うことで、まず脳の発達に良い影響となるのです。
嬉しいという気持ちは、学びの最大のモチベーションになります。
CDの聞き流しであっても耳を慣らした経験があれば、外国語を学びたくなった時に大いに役立ってきます。
まとめ
音楽の絶対音感と同じように、子どもの「臨界期」に注目することで外国語に耳を慣らすことができるのですね。
英語が嫌にならないように押し付けることなく、楽しく学んでいくことが大切です。
気軽に英語を学べる環境を準備してみてはいかがでしょうか。
お子さん本人が学びたいと希望した時に、ちゃんと学ばせていくと良いでしょう。
外国語を学ぶことで、日本との文化の違いや発想の違いに気づくことが多くなります。
世界の情勢や文化の違いも理解できるようになり、総合的で人間的な知見につながっていくのです。